#31 バンコクの夜遊びは危険な香り タイ(7)

東南アジア

こんにちは。にしきよです。
今日もよろしくお願いします。

今回の出来事です↓
1. バンコクの夜遊びは危険な香り

1. バンコクの夜遊びは危険な香り

2019年12月20日のお話

にしきよさんドキドキです。
ここはBTSスクンビット駅。もうこれだけでわかる人にはわかるんじゃないでしょうか。

駅から降りて賑わう道を歩いて行きます。
う~んこの辺のはずなんですけどね~。
全然普通の道ですね。

む、あれは!

 \わいわい/  \ガヤガヤ/

間違いない、ここですね。

※これより先、不快感を感じる可能性のある表現を含みます。ご注意ください。

ここはBTSスクンビット駅の近くのソイ・カウボーイという歓楽街。
まぁいわゆる性風俗街です。
知ってる人は知ってると思いますが、タイでは買春が合法であるかのようにできます。
今回はせっかくバンコクに来たのですからどんなものか見ておきたいと思いました次第です。まぁネットとか見ればいくらでも出てきますけどね。でも自分で見てみたかったのです。

とまぁまるで興味なさそうなフリしてますが内心ドキムネウヒョウヒョなにしきよさんです。
参りましょう。

なお、これ以降は文字だけになります。さーせん。
撮影禁止かどうかはわかりませんがマナーとしてやめときました。

さぁさっそく潜入していきますよっ!ムヒョヒョ

こ、これは…!
なんて世界なんだ…!

通りの両側に店が展開しピンクのネオンで通りを照らしています。爆音ミュージックが垂れ流され、店の前にいる無数のおねーちゃんたちがミュージックに合わせて体を揺らします。
ちょっと露出多いなという格好からがっつり水着姿まで。
年齢は20代前半と思しき子から40代?と思われるおばちゃんも。
見るからに整形してますという顔からナチュラルなタイ顔まで。明らかに元男性も混じってます。
ひと目でちょっとないなと思うような人からアイドルにでもいそうな可愛らしい子まで。

「おにーさん、ちょっとみるダケ!」
キョロキョロと周りを見回しながら歩いていると女の子たちが日本語で客引きしてきます。
き、きれいな子だな…。
「あ、あとで!まだこの辺来たばっかりだから!ちょっとこの辺見させて!」
「え~イマいこうよ~」
すごい力です。女の人ってこんなに力出るんですね。踏ん張らないと店の中に引っ張りこまれそうになります。
「後でって!またここ戻ってくるから!」
「ほんとニ~?」
ぼくの腕をとって体を触ってきたり触らせたりしてきます。
ドキリ。
「ほんとほんと!絶対また戻ってくるから!」
「やくそくダヨ!ゼッタイもどってきてね✩」

な、何だここはっ!す、すごいところだ…!異様な光景だ…!
ひ、引き続きちょっとその辺をいろいろ見てみるでありますっ!キョロキョロニヤニヤ

客層は欧米人に中国・韓国・日本人など。
ニヤニヤする外国人男性で通りは溢れかえっています。
あ、ぼくもその一人だったわ。情けない。

驚いたことに客の中には女性もいました。たぶんただの冷やかしだと思いますけど。
というかカップルで来ている人もいますね。さすがにそれは何考えてんだ。
タイのこういった歓楽街はもはや大人向けの観光地といった位置づけとなっているようで、以前はガイドブックにも「勇気を出して冷やかしに行ってみよう」なんて書いてあったみたいです。今は知りませんけども。

さらに驚いたのは普通に警察が出入りしてる!
一応タイでも売春は違法でして、こういった風俗店は警察にワイロを支払うことで摘発を逃れているみたいです。まぁいろいろな事情があるんですな。

さて、一通り見終わりました。通りはそんなに長くないです。40mくらいでしょうか。
さ、さて、いよいよ店の中に潜入して行きましょう。
店内は重そうなのれんみたいなもので仕切られています。
こ、これに入っていくのか…!

いや、まだだ。まだその時ではない。落ち着け。
もうちょっと、もうちょっとだけ見ていこう。

「おに~さ~ん」
「あっさっきの!」
「もう!ドコいってたの~。ずっとマッテたよ~✩」
「え?こんなに人いるのに覚えてたの?」
「うん!おにーさんタイプだからオボえてたよ~」
「そ、そう?」
慣れてない男はそういうビジネストークにも悪い気しないのが情けないですね。
「ね~ね~ワタシとおはなししよ~」

にしてもすごい日本語上手です。
ぼく少しゆっくり話してますが必要ないくらい流暢です。
聞いたら英語・日本語に加えて、中国語・韓国語も同じくらい話せるみたいです。
この世界で外国人の相手するには少しでも語学に堪能な方が有利みたいですが、ものすごく努力したんじゃないでしょうか。

こ、この子感じ良さそうだしこの子の店に行ってみよう。
一応石橋叩きます。
「コーラ一杯いくら?」
「140バーツ(約500円)ダヨ」
「140バーツかぁ~(高い!)」
「ね?ね?見るだけだからっ✩」
「じゃ、じゃあ見るだけねっ」

いざ、潜入します。
の前に許可を得て入口の写真を撮らせてもらいました。

店内はそんなに広くありません。
客が座るソファがあります。詰めて掛けたとしても10人も座れないくらいです。
その前にお立ち台があります。水着姿の女の子6人程がその上で音楽に合わせて踊っています。楽しそうに喋りながら踊っている子もいれば義務的な感じでやややる気がなさそうな子もいます。
店内は暗いですがカラフルな照明が回転し、時折ギラリと眩しく光っています。

「いらっしゃ~い✩キテくれてありがとう!」
先ほどの子が隣に座ります。
店内の音楽が大きいためでしょうか。かなり近い距離に顔を近づけて話してきます。
「なにのむ?」
「コーラをお願いします」
ウェイトレスにコーラをオーダーしました。
他愛もない会話を少々。彼女はニコニコとフレンドリーに話してきます。
「ここはハジメテ?」
「まぁね」
その間もその子は体を密着させてきます。
ドキリ。
正直言ってぼくはこの手のことが得意ではないです。
必死に慣れている風を装いますがたぶん思いっきり目が泳いでます。
「おにーさんカッコイイですね」

「あ、ありがとう」
ニコニコ話す彼女。
ビジネストークだとはわかりつつもやはりうれしくなってしまうぼく。
いやもしかしたらちょっとはほんとかも?
変なおっさんとかが多いのでもしかしてあながち嘘ではないのでは?
などと勝手に自分に都合のいい解釈をしてしまうぼく。マジ滑稽だわ。

とか何とか言ってたら頼んだコーラが来ました。
が、2本あります。
ん?頼んだのは一本のはず。

「こっちのコーラは何?」
「これはわたしのだヨ」
「あ、そうなの?お金かかるの?」
「180バーツだヨ」

180バーツ。約650円。
それほど法外な値段という訳ではないですが、ここで出すとなんだかますます相手のペースになりそうです。それが怖くなりここは断ることにしました。
女の子の分は払う必要がないことはあらかじめ知っていたのです。

「ごめん。こっちの分は払わないよ」
「え~おネがい!のませてほしいナ~」
ニコニコと上手に甘えてくる彼女。
う~ん。ここまで話し相手になってくれたし出してもいいのでは?それが筋ってものでは?という思いが浮かんできます。
いやいや一旦断っとこう。ペース持ってかれる。
「ごめんね。今日は見に来ただけなんだ。だからこの分は払わない」
ぼくは精一杯、申し訳なさそうに謝りそう伝えました。

その瞬間、彼女はくるりと表情を変えた。
ウェイトレスとついでにぼくにもタイ語で2言3言言うとさっさと店を出ていった。

悪いことしちゃったかな。
もしかしたら女の子は客からドリンクをおごってもらうことでようやくお金を手にすることができるのかもしれない。
ぼくがドリンクをおごる気がないことに気づいて他の客を取りに行ったのだろう。

あんなに楽しそうにニコニコしていた子がため息をついて出て行った。
ウェイトレスが女の子が飲むはずだったコーラを下げていった。
いや、これでいいのだ。
一人になったぼくは幾分か落ち着いて、注がれたコーラを飲みながら店内を見回した。
ぼくの他には日本人と思われる男性2人組だけ。それぞれ1人づつ女の子を付けて肩を抱いたりして談笑している。

現実離れした光景だ。
ぼくはお立ち台の上で音楽に合わせて体を揺らす水着姿の女の子たちをしばらく眺めていた。
きれいな肌、みごとなくびれ。
目が合うと微笑み、大きく体を揺らしこちらを誘惑してくる。

ぼくら客はこの中から気にいった女の子を選んで「買う」ことができる。
買われた子は一晩客の相手をする代わりにお金を得る。

・・・・・・

女の子を付けることなく一人で眺めるぼくを不思議に思ったのか、ウェイトレスの子が話し相手になってくれた。今は店内に客が少なくてヒマなんだろう。その子は単にウェイトレスとして働いているようだ。店内の他の女の子のような派手な水着姿ではなくミッキーマウスのややシワがついたシャツを着ていた。簡単な英語を話せる。タイ北部チェンマイの出身。旅してるならいい町だからぜひ行ってみてほしいとのこと。
お金が絡んでない分、 ぼくはウェイトレスの子と話すほうが気楽でいいと思った。

「あなたは女の子を買わないの?」
ウェイトレスの子はぼくに聞いた。
さも当たり前かのように言うのでぼくは少し驚いた。
「ぼくは見ているだけなんだ。ごめんね。」
それでいいと思う、という感じでその子はうんうんと頷いた。

同じ年くらいの子がこんなに近くで売春している。
この子はどう思っているんだろう。

・・・・・・

しばらくぼくは一番端で踊っている子を目で追っていた。
その子はあまりノリノリで踊っているという感じではなかった。店内の他の子と違いほとんど化粧をしていないように見える。タイ人らしい浅黒い肌に大きな目がかわいらしい子だった。
ウェイトレスの子が気づいて「あの端の子を買う?」と聞いてくる。
「あの子は英語話せるの?」
断ってばかりでなんだか申し訳ないと思ったぼくは取り付く島ありと思わせるために質問してみた。
「ああ、あの子は英語話せないわ。」
「ちっとも話せないの?」
「ええ、彼女が話せるのはタイ語だけよ」
英語も話せないなんてこの世界で働く子にしてはめずらしいと思った。
「いくらなの?」ぼくは聞いてみた。
「3,700バーツよ。お店に700バーツ。彼女には3,000バーツで合わせて3,700バーツね。」

3,700バーツ。
約13,000円。
安いな。
と思った。

もちろん今のぼくには大金だ。3,700バーツもあれば1週間は生活できる。
しかし、お金さえ出せばなんの努力もなしにこのあたりの女性誰とでもセックスできるのだ。
そんなことってあるだろうか。

彼女たちはどう思っているのだろうか。
ぼくたち客と異なり女の子側は客を選べない。指名されればどんな客であっても相手しなければいけない。
お金さえ貰えれば問題ないのだろうか。

・・・・・・

音楽が途切れてお立ち台で踊っていた子たちが降りてきた。
どうやら外で呼び込みをしているグループと交代らしい。
端で踊っていた子も外に出ていく。かかとの高いヒールを履いていたがぎこちない不自然な歩き方だ。

ぼくは少しずつコーラを飲みながら女の子が踊るのをまたしばらく眺めていた。
あんなにグラス一杯だった氷がもう小さなかけら2, 3個になっている。

あの子はいつから働いているのだろう。なんで働いているのだろう。
ほしいブランドバッグがあるからだろうか。
学費を稼ぎたいからだろうか。
それとも貧しい家族がいて仕送りする必要があるからだろうか。

・・・・・・

しばらくするとその子が白人男性に肩を抱かれて店内に入ってきた。
店の外で客を取ったか指名されたらしい。
白人男性はソファに座り、その子の肩を抱きながら大きな声で話している。
彼女は笑顔で対応している。
彼女は今どう思っているのだろう。

ぼくは横目でチラチラとその子の様子を見ていた。
白人男性はその子をひざに座らせて体中まさぐっている。
彼女はそれに笑顔で応えていた。

もはやほとんど味がしないコーラを一気に飲み干しぼくは店を出た。

・・・彼女はこの後どうなるのだろうか。
あの白人男性に買われていくのだろうか。
その場合、お金がもらえてハッピーなのだろうか。

・・・帰ろう。

時刻は夜の1時過ぎ。
道のおばちゃん「もうこんな時間だもの。電車もバスもとっくにないわよ」
ぼく「な、なんですとー(゚∀゚)!」
宿まで6kmもあります。タクシー使おうかな。
いや、歩こう。何となくそんな気分です。

痛て。

履きなれた靴なのに靴擦れしました。
今日はそんなに歩いたわけではないんですけどねぇ。
靴下の長さが足りてないのかもしれません。

・・・・・・

スクンビット周辺はバンコクでも最も活気がある場所です。
酒屋のみならず、お土産屋さんや魚屋、本屋までまだ開いています。



この街は眠らない。



スクンビット駅の出口付近で7歳くらいの少年が声をかけてきた。
物乞いだ。
少年はぼくの服をつかむとギブミー10バーツと連呼している。
まっすぐに見つめてくる目には輝きがない。
現金をあげないと決めているぼくは飲みかけのペットボトルの水を渡した。これで勘弁してくれ。
少年は不満そうに受け取りギブミー10バーツと続けて言った。
ぼくが立ち去ると少年は次の通行人に狙いを変えて同じことを続けていた。



靴擦れが痛い。



少し歩くと今度は親子の物乞いがいた。
若い母親と性別がわからないほど幼い乳児だ。母親がすわる脇には小さな紙コップが置かれている。母親は哺乳瓶で赤ん坊にミルクを与えている。



コンビニで買った絆創膏を貼り付けて歩き続けた。



今度は幼い姉弟が路上にすわっていた。
弟はお姉ちゃんのひざの上で安心しきったかのように熟睡している。
お姉ちゃんはニコニコとして通行人を眺めている。笑顔にまだ輝きが残っている。
紙コップも置かれていない。身なりもややきれいだ。路上に出て日が浅いのかもしれない。



・・・・・・

何なんでしょうこの街は?







空に延びる高層ビル
その1区画となりに形成されるスラム街

物で溢れる繁華街
その道にたむろする無数の物乞い

信心深く祈りを捧げる人たち
日夜行われる売春





 どちらが本当の姿なんでしょう?



・・・いえ、どちらが本当とかではないです。
どちらもです。

きっとバンコクはそうなんです。
単純な都市の規模やそのきらびやかさだけでは決してない。
清濁併せ呑むそのスケールの大きさにこそ多くの旅人は惹きつけられるのでしょう。

・・・・・・





あっという間に宿に戻ってきました。
今日ぶち込まれた諸々が未消化物のように頭に残ってます。

シャワーを浴びなきゃ。
あ~めんどくさいですねぇ。でも汗で体がべたべたです。

天井から落ちる冷たいシャワーを浴びます。
いつもより長く浴びています。
すでにシャンプーと石鹸で体中きれいさっぱり洗い流しました。
ぼくはそれでもシャワーを浴び続けていました。

2019年12月20日 タイ・バンコクにて

コメント

  1. たき より:

    書籍化いけるで

  2. いっちゃん より:

    はじめまして、
    にしきよさんの記事はいつも等身大で決して背伸びをしない姿から勝手ながら親近感を覚えます笑

    今回の記事はとても考えさせられました。自分たちが何の不自由もなく暮らしている中で誰かに物乞いでもしないと生きていけない人がいる……。

    世界の現実をまた知れました。ありがとうございます。これからも投稿楽しみにしてます

    • nishikiyo nishikiyo より:

      いっちゃん様、はじめまして(^^)
      コメントありがとうございます。親近感も!笑
      この日はぼくも考えさせられることが多かったです。
      それらに対してぼくにできることは少ないですが、それでもぼくが見たことをそのまま伝えたいと思っています。
      これからもよろしくお願いします。ぜひ一緒に楽しんでいただければ!

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