#135 ぼくたちは正義の側か イラン(5)

イラン

こんにちは。にしきよです。
本日もよろしくお願いします。

今回の出来事です↓
1.テヘラン観光 博物館とか宮殿とか
2.ぼくたちは正義の側か


1.テヘラン観光 博物館とか宮殿とか

2023年1月30日のお話

サラーム!

テヘラン、思ってたよりずっと大きい都市です。都市圏人口1,400万人、場所によっては高層ビルが並び立つ大都会でした。

本日はそんなテヘランを観光していきます。
よろしくどうぞ。

ファストフードの屋台が集まる通りで朝ごは~ん

サンドイッチとコーラ合わせて70万リアル(約210円)

げっ(゚Д゚)!
雨降ってきた(゚Д゚)!
うそ~ん(゚Д゚)!

逃げるようにやって来ましたは「イラン国立博物館」

入場料10万リアル(゚∀゚)!(約30円)
安い(゚∀゚)!

と思ったら100万リアル(約300円)でした。
「 , 」の打ち方がおかしいのよ。

雨宿りがてら入っていきます。
白状しますと実は何が展示されてるのかよくわかっておりません。

いえね、イラン思ってた以上に全然インターネットが繋がらないんですよ。
VPN使えば~とかそういうレベルじゃないくらいほぼほぼ繋がらないです。具体的な数字で言うと0.1Mb/hとか。いかに絶望的か伝わりますか?

シラーズで14ドル(約1,800円)も払ってSIM買ったんですけどほぼ無意味です。バカ野郎と叫びたいです。

イランから出た後に知ったことなのですが、この状況は実は比較的最近のことみたいです。
イランでは女性は必ず髪を隠す「ヒジャブ」を着用することが義務付けられているのですが、2022年9月からヒジャブ着用をめぐるデモがイラン全土で発生しており、それを抑えるために政府がネットを遮断しているとのことです。

やや話が逸れましたが要するに、ネットがまったく使えなかったのでこの博物館がどんな博物館かもろくに調べれていないということです。

中は暖かくていい感じです。

まず最初に目に入ったのがイランの地図。

シラーズ➔イスファハーン➔テヘランで山脈を越えてきたんだなぁ~と個人的には楽しめました。
たぶん何言ってるかわからないと思いますが。

旧石器時代の出土品に関する展示が。
なるほどこういうのがあるんですね。

この辺はあまり興味の範囲じゃないので飛ばし飛ばしで行きますね~。

メソポタミア文明あたり。
メソポタミアって懐かしいですね。中学生の時に世界4大文明?として暗記して以来です。

当時の街の様子の再現想像図。
紀元前5,000年でこの規模感ってすごいですね。

その後イランの歴史は「シュメール文明」→「バビロニア」→「アッシリア」→「新バビロニア」と流れまして(←知ったように書いてますが全部調べながらです)

アケメネス朝ペルシャの時代です。
展示物のボリュームからしてこの時代がイランの黄金期なんでしょうね。シュメールとかバビロニアとかアッシリアとか全部よその国から支配されてた時代ですし。

アケメネス朝ペルシャの版図。
東はインド、西は東ヨーロッパ、アフリカ方面ではエジプトやリビアまでも範囲に入っています。めちゃめちゃ巨大ですね。
先日訪れたペルセポリスはその首都だった都市です。

なるほどなるほど。
イラン国立博物館はイランの歴史が学べる場所だったというわけですね。

お土産コーナー。
まさかの日本語バージョンがあり2度見しました。

ちょっとほしいじゃねーか。

他にはイラン5,000年の工学史なるぶっとい本も。
20ドルとかでしたかね。ちょっとお値段忘れちゃいましたが立派な値段だったのは覚えています。

他にも立派な本がいくつも。

売場担当の方がぜひ見るだけでもといろいろ本を見せてもらいました。
見てるだけで買う気がないことはわかってたと思いますが、それでも親切に見せてくれたのはイランのことを知ってもらいたいという思いがあったためだと思います。

ちなみにその店員さん、日本アニメの大ファンのようで
「宮崎アニメが大好きなの!特に「スピリット」が最高だったわ(´∀`)!」
と言っていました。

そんな題名あったか?と思いましたが
「日本語だとセントチヒロノカミカクシって言うのよね!」
と言ってましたので「そうそう、よく知ってるね」と答えておきました。

イラン国立博物館終了。

雨がやんでいました。
計算通り( ̄∀ ̄)ニヤリ

引き続きテヘランぶらぶら。

活気のある通りに出ました。

おお!楽しい(゚∀゚)!

ギター弾くおっさんや、

シャボン玉吹くおっさんや、

体重計持ってきてるおっさんまで。
お姉さんも乗んのかーい。

オールドバザールもあるみたいですね。
今回は入りませんでしたが。

なんかヨーロッパみたいに小綺麗です。

次の目的地「ゴレスターン宮殿」にやって来ました。

位置関係こんな感じ。
どこから入るかわからず、はじめ南が入口だと思っていたのですが、

東でした。
しかも見逃しちゃいそうなほど入口地味です。
もっとド派手なものかと思ってました。

料金のシステムがめんどくさかったです。
基本入場料100万リアル(約300円)に加え、9つあるエリアそれぞれに入場料が設定されています。全部見ると700万リアル(約2,100円)となかなかに高額。

飽きそうだったので宮殿メイン部分だけのチケットを購入しました。
基本入場料と合わせて300万リアル(約900円)

お庭。

館内マップ。
庭を取り囲むように複数の建物が配置されています。

えーと、ぼくが入れる建物はどこでしょう?
試しに適当な建物に入ってみたらそのチケットじゃねぇと追い返されました。

なんでまとめて一つ刷りで販売してくれないんでしょうね。
減るもんでもないし全部見せてくれればいいものをケチと思いました。

システムのケチさのせいでじゃっかん見る気なくしてましたが、宮殿そのものは非常に見ごたえがありました。

キンキラキンの通路や、

豪華な室内、

貴重な調度品の数々。

ちなみに室内へは靴カバーをして入っています。

ゴレスターン宮殿おしまい。

綺麗っちゃ綺麗でしたが、300万リアル出した満足感としては微妙ですね。
インスタ映えが好きな人なら押さえといてもいいと思いますが、綺麗だった以外何も残りませんでした。

・・・とこの時は思っていたのですが、後から改めて調べてみると

「ペルシャ美術と欧州の建築様式・モチーフが融合した類いまれな例」
「現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠」
「東西の建造技術の融合を象徴する極めて貴重な(略)」

などなど、え?そうだったの?という情報がもりもり出てきて後悔しました。
インスタ蝿ほいほいなどとバカにせずにもう少し真面目に見ておけばと思った次第です。

2.ぼくたちは正義の側か

続いて訪れるのは「旧アメリカ大使館」
アリーも行きたいというので一緒に見に行きます。

今でこそ反アメリカの急先鋒であるイランですが、つい50年前まではめちゃめちゃ親欧米でアメリカとも良い関係だったってご存じでしたか?イランがパフラヴィー朝だった時代です。

これ、1970年代のイランの写真です。
女性がヒジャブをしていないですし、かなり欧米風のスタイルですよね。
この頃のイランは脱イスラームと近代化・欧米化を急激に進めている国だったのです。

それが現在ではゴリゴリのイスラム国家で反アメリカ東側陣営の急先鋒。
いったいこの50年の間に何があったんだ?とのことでイランの近現代の歴史を簡単にまとめてみました。かなり単純化してるので細かいところは目をつぶっていただければ助かります。

第二次世界大戦後
イギリス「イランは俺たちの植民地!石油の利益の9割は俺たちのものwwひゃっはーww」
イラン「イギリス怖い・・・( ´:ω:` )」

イラン「このままではあかん!石油産業を国有化してイギリスを追い出すで!ついでに民主化や!」
1951年 脱イギリスと民主化を実現

パフラヴィー2世「民主制つまんな」
アメリカ「力が欲しいか?」
パフラヴィー2世「あ、あなたは・・・」
1953年 パフラヴィー2世がアメリカの支援を受けクーデターを起こす。民主制は崩壊しパフラヴィー2世による新アメリカの独裁政権が始まる(パフラヴィー朝)

アメリカ「良くしてやったんだから石油の利権の半分は俺のものな」
パフラヴィー2世「俺が贅沢できるならOKっすww」
イランとアメリカ 蜜月関係続く

パフラヴィー2世「石油利権のもう半分は王室のもの!あとイスラームとか時代遅れ!」
国民&イスラム法律家「ふざけんな!!」
1979年 イラン・イスラーム革命勃発 王制は廃止、イラン・イスラム共和国(現在のイラン)が樹立 西洋文化が禁止され社会のすべてがイスラム化

同1979年 アメリカ大使館人質事件が発生 アメリカとの国交断絶

イスラームが深く社会に根差した国、また反米の国として現在に至る

といったところでしょうかね。
つい50年程前までイランとアメリカが蜜月関係だったというのは驚きでした。
さらに言うと、アメリカが石油利権欲しさに民主制を潰して独裁政権を支援していたということも驚きでした。

今来ているここ「旧アメリカ大使館」はサファヴィー朝の独裁政権とアメリカとの決別の象徴となる場所なわけです。

旧大使館の外壁です。
どれだけアメリカが嫌いか伝わってきます。

撮影していたらイラン人がポーズを取ってくれました。
めっちゃ誇らしげだな。

おぉう・・・(^^;)

ん?中に入れるんですね。
てか博物館になってたんですね。てっきり事件後は廃墟になったのだと思ってました。

入館料100万リアル(約300円)

これちょっと有名な絵ですね。
チケットにもこの絵がプリントされています。

入っていきましょう。

もうこんだけでアメリカ嫌いが伝わってきます。

事件当時の様子みたいです。

風刺画もたっぷり。

「アメリカがテロリストをトレーニングしている!」

1988年のイラン航空655便撃墜事件のことですよね。
アメリカの言い分としてはあくまで誤射とのことですが、少なくともイラン国内では受け取られ方が異なるようです。

見学終了。

最後にアリーがこの国旗も撮らないのかい?と言ったので撮りました。

(右に写ってるのアリーの手)

アリーはアメリカを揶揄する展示内容を見ては終始嬉しそうでした。
風刺画を見て手を叩いて喜んでる時もありました。

「やっぱりアメリカはとんでもない国なんだ!」
・・・と言ったわけではないですが、明らかにそう思ってる様子です。

断っておきますがアリーはとてもいい子です。
本当に純粋ないい子です。

ぼくは日本で生まれ育ったので
「アメリカは正義の味方なんだ!」
という価値観を持っています。

いちおう、世界史などを勉強をする中で、アメリカがこれまで世界でやって来たことなども知ってるつもりではありますが、それでもなお「アメリカは正義の国」という認識があります。

一方のアリーはイランで生まれ育ち、物心ついた時から折りに触れては「アメリカは悪!」という刷り込みをされているわけです。

アメリカにはアメリカの言い分があるし、
イランにもイランの言い分があるのでしょう。
その上で双方が自分たちこそ正義だと信じて疑っていないわけです。

ここは誤って受け取ってほしくないのですが、ぼくは今回の記事を通して「アメリカは本当は悪の国だ!」とかそんなことを言いたいわけではありません。

もしこの世界に「正義」と「悪」の2つがあるのだとしたら、自分たちは本当に正義の側にいるのだろうか、ということを言いたいのです。自分たちの信じる正義は本当に正義なのか、ということを言いたいのです。なぜなら双方が自分たちこそ正義と信じて疑っていないのですから。

お互いの正義が最悪の形でぶつかって引き起こされるのが戦争でしょう。

自分たちの正義を信じる心はもちろん大切ですが、
相手にも相手の正義がある、
自分たちが正義とは限らないかもしれない、
と、ほんの少しでもそんな視点を持つことが大切なのかもなぁと思った次第です。

純粋でいい子なアリーがアメリカを悪く言ってたことでそんなことを考えたのでした。

2023年1月30日 イラン・テヘランにて

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